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本の修理 漢和大字典

 

 

 

 




本の修理をしました

 

 




『新修漢和大字典』

小柳司気太    博文館   
増補版第一版 昭和11年

印刷者 井上源之丞   
印刷所 凸版印刷


before








背表紙が外れてしまっています
厚みがあります、約80mmほど




本文紙の状態はとてもいいです
破れや綴じの外れなどはありません




どうしても表紙に近い折丁が外れやすくなります




平ヒモの支持体?と思いましたが
表と裏に近い折丁に3本渡してありました


補強のための平ヒモです
厚みがあるとどうしても最初と最後の方が
表紙に引っ張られて壊れやすいので、納得です

さて、この平ヒモはほんの序章?
修理のために本を分解すると
この字典の製本がすごく丁寧なことがわかってきました
せっかくなので、構造メモを残しました


また、ご依頼主さんは
旧仮名遣いで振り仮名のある和辻哲郎の初版を
この字典を使い、読んでいたそうです
まだまだ字典も他の本も読み込みたいということで
機能性重視で直してほしいということでした




 


 

 

・・・


最初に、、、構造メモです

※寒冷紗は通常通りにありましたが、書いていません


見返しは、効き見返しと遊び見返しを分けて
キャラコで繋げています(以下の写真1,2)

そのキャラコも遊び見返し側で折り込まれ
折丁と一緒に平ミシン綴じされている(3)
ミシン綴じも、折の真ん中までで(4)
負荷の多い表側は2折、裏側は1折の綴じです


(1)


(2)


(3)



(4)


巻き見返しなど、昭和初期の製本にはいろいろあるけど
なかなかの丁寧さです
製本所の情報が奥付になかったのは残念・・







丈夫な製本方法なので
同じように直すのもいいのですが
もっと良く(というのは言い過ぎかもですが)

直すこともできるかな、と思い

構造を変えて直しました
 

 

 



まずは、分解



この製本の見返しは、効き見返しと遊び見返しが分けてあり
のどはキャラコなので、のどが壊れにくく
丈夫です

ただ、見返しは中身と表紙をつなぐ役目が主です
大切な情報が印刷されていると

表紙の壊れとともに破れてしまったりします
(伝統工芸の製本は、遊び見返しと効き見返しが別々です
それは、中身と表紙は支持体でつながっているので
見返しでつなげる必要はない、わけです)

デザインとしては、本を開いたときに、
まずは見返しで本の良さを噛みしめることができるので
見返しにイラストやデザインがあったり、
きれいな紙を使うのは嬉しいとは思いつつ・・

見た目よりも機能性重視ということなので

(見返しを見返しとして戻した例→
見返しは裏打ちして再生し、
ギャルドブランシュの頁として綴じこむことにしました
(afterの構造メモを参照してみてください)






背には、補強のためにクータをつけたいので
もとの接着材(膠でした)をある程度残したまま
寒冷紗も残したまま、寒冷紗とクータをつけました

 

クータとは、筒状の紙、です
上製本の中身の背と背表紙の内側は空いています
(タイトバックという製本方法で
背がばっちり貼り合わさっているものもあります)

中身の背と背表紙の内側をつなげて
本の背と中身を支える役目がクータです



また、平綴じの構造はノドから切れてしまうことがなく

丈夫なのでいいなとは思いつつ、
壊れた状態を見ると

平綴じされていない繋ぎの折丁部分から

結局は外れてしまっていたので、平綴じは外しました







修理後の構造はこのようになりました

※寒冷紗とクータはありますが、書いていません

ギャルドブランシュは無地の折丁です
ギャルドブランシュの1ページに
見返しを全面貼りにすることで
見返しがのどから切れにくくなります
通常、無地の8ページの折をつくりますが
もとの見返しを和紙でつなげて
ギャルドブランシュの一部として綴じました








after













 

 

ご依頼、ありがとうございました

 

 

辞書そのものを読む楽しみといえば

新解さんだよなあ、新明解国語辞典を思い出しますが

ご依頼主さんのお話を伺うと、

この漢和字典も読むのが楽しそうです

(新解さんとは、赤瀬川原平の「新解さんの謎」のことです

はじめて聞いた!という方は読んでみてください)






 

 

・・・・・・・
本の修理の方法は
1つだけではありません
修理の目的、ご希望の素材や

予算などに合わせて
修理方法を考えさせていただきます

本の修理や手製本、お気軽にご相談ください

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古本と手製本ヨンネ 
植村愛音
info@yon-ne.com




 

 

| 本の修理ビフォーアフター | 16:23 | comments(0) | - | pookmark |
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