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5/3(金・祝)よくばり!糸かがり綴じの手製本ワークショップ at アトリエ・ハコ(西荻窪)

 

 

 

 

 

5月の手製本ワークショップのお知らせです。

 

綴じのアレンジを詰め込んだ

よくばり糸かがり綴じです。

 

 


・・・・・・・・・・・・・・・・・・
   よくばり糸かがり綴じの手製本WS 

    at アトリエ・ハコ(西荻窪)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

日時:2024年5月3日(金・祝)

   13:00〜17:30

 

受講料:¥10000(材料費込み)

※当日、現金払いでお願いします

場所:西荻窪 アトリエハコ(→
          杉並区西荻南3-8-19 ヤマイチビル3F
          tel 03-5941-6474

定員:6名様(満席です。キャンセル待ち受付中です)


持ち物:なし

 

 

●ベーシックレッスン有

10:30〜12:00(詳細は下記)

 

 

手製本に欠かせない紙を糸で綴じること。糸綴じ、糸かがり、糸かがり綴じ、綴じることで背が立ち上がり本としての形ができあがります。のり綴じや平綴じなど、どんな綴じ方でも紙をまとめることはできますし、基本的には表紙をつけてしまうので綴じの違いがよくわかる背は隠れてしまいます。そんな背に隠れている綴じ糸というのは手製本の魅力のひとつです。

基本の綴じに焦点を当てて5つの綴じで5冊をつくる手製本講座もあります(→)今回はその基本とアレンジ綴じを1冊に盛り込んで欲張ってみます。麻紐と平紐の支持体有、6つの綴じ方で製本します。折丁を重ねるほど綴じ模様のおもしろさが際立つ綴じです。


紙を糸で綴じてみたい、糸かがり綴じが好き、糸綴じのアレンジを増やしたい、糸綴じのノートをつくりたい、手製本が気になる、手製本をはじめた、本づくりをやってみたい、紙が好き、布が好き、本が好き、文房具が好き、手を動かすことが好き、どなたでもご参加いただけます。

 

 

 

●この1冊を製本します

 

 

 

 

 

 

●●●

糸かがり綴じがはじめてという方へ

当日の10:30〜12:00に、糸かがり綴じのベーシックレッスンを行います。無料です。はじめての方はぜひご参加ください。よくばり糸かがり綴じがよりよく理解できると思います。はじめてでない方も、もちろん参加可能です。復習にぜひ。また、ベーシックレッスンご希望の方は申し込みの際にその旨を明記お願いいたします。※ベーシックレッスンのみの参加はできません。
 

 

 

 

 

・・


お申し込み・お問い合せは
 mailで→ヨンネまでお願いします
 

件名に「よくばり糸かがり綴じ」と明記の上

お名前、ご連絡先、

ベーシックレッスン参加有無、お知らせ下さい
info@yon-ne.com

 

 

 

※3日以内に返信させていただきます
 もし返信がない場合には

ブロックされている可能性がありますので

お手数ですが再度メッセージをお願い致します

 

 

 

 

 

 

 

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WEBSHOP商品

綴じの違いから手製本キットを紹介します

予習復習にご利用ください

 

 

支持体有・平ヒモと、フレンチリンクでつくる

手製本キット・糸かがり綴じ2冊

 

支持体無・パピヨンかがりでつくる

パピヨンかがりと背表紙なし製本(コデックス装)

 

支持体無・1本針かがり(リンクステッチ)でつくる

1本針かがりと背開き上製本(スイス装)

 

支持体有・平ヒモでつくる

糸かがり綴じと角背上製本(基本)

糸かがり綴じと角背上製本(継ぎ表紙)

糸かがり綴じと角背上製本(コーネル装)

糸かがり綴じと角背上製本(ドイツ装)

 

 

 

 

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| 手製本講座やWSのお知らせ | 11:11 | comments(0) | - | pookmark |
202402 本の修理と手製本アドバンスクラス

 

 

 

 

 

2月の本の修理と手製本講座アドバンスクラスでした。

 

 

壊れた本を直してみる、綴じたいものを綴じる、テーマを決めて製本する、これは製本できるかな?製本してみたい!を進めるクラスです。

 

 

 

 

 

本屋さんで配布されていた中綴じ冊子が集まってきたので綴じまとめたいということで、フレンチリンクのかがり綴じを進めていた1冊、綴じ終わって表紙を合わせてできあがりました。

 

 

 

 

 

 

 

とあるワークショップで絵を2枚描いた。絵が収まる額装本にしたいということでつくりはじめ。どんな1冊になるか楽しみです。

 

 

 

 

 

 

いろいろ修理したり改装したいものがある!!ということで持ち込みたくさん。まずはパッカリと割れてしまった無線綴じの小説を糸かがりにすべく(全800頁ほどの鈍器本です)解体はじめ。

 

 

 

 

まだ読めないほどでもないけれど背固めの接着剤が外れてきているので綴じ直して改装したいという本、こちらも解体はじめ。

 

 

 

 

 

手を動かしながらおしゃべりしながら本の話や映画の話も。少しづつ、進めましょう。

 

 

 

 

アドバンスクラスは基礎123を終えた方が中心ですが、内容によってはご相談に応じます。お気軽にご相談ください。


 

 

 

 

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| 講座やワークショップの様子 | 22:22 | comments(0) | - | pookmark |
かがり台をつくる!つかう!手製本講座でした

 

 

 

 

 

2月の単発講座は

かがり台をつくる!つかう!手製本講座でした。

 

 

 

会場はいつものアトリエハコさんです。

久しぶりにテーブルを囲む形にしました。わいわい。

 

 

 

 

木材と金具を合わせて支持体を垂直に張れるよう組み立てます。支持体のセッティングを覚えて、綴じる折丁、目引きの準備をすればあとはかがるだけ!

 

一家に一台?かがり台が備われば怖いものなし!かがり放題ですよー(かがり台が無くてももちろんかがることはできるのですが、仕上がりの精度はぐんとあがります)たくさん綴じてかがってみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

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| 講座やワークショップの様子 | 22:22 | comments(0) | - | pookmark |
本の修理 楽譜

 

 

 

 

本の修理をしました。
楽譜です。


「HANDEL'S MESSIAH 1960年世界的改訂による日本新版」基督教音楽出版
糸かがり綴じ、チリ有りソフトカバー

 

 

合唱のために長く使い続けている譜面とのこと。書き込みやインデックス貼り、クリップ留め痕跡はあるもの本文紙はしっかりしていてきれいです。表紙は背表紙を中心に中身を保護する役目を全うしていました。

 

 

 

 

 

 

before

 

 

 

 

夏に合唱の発表会があるため練習がはじまる前までに直したい。とにかく中身が大事なので、捲り易く、手で持ち易く譜面台に立て易く、表紙は新しいものでエンジに近い色味で。というご希望でした。

 

 

 

 

 

中身の修理。インデックスは不要とのことで取り外し。折丁毎に解体し掃除、和紙で補修、本かがりで綴じ直し。ギャルドブランシュ、幅広クータをつけています。表紙は布表紙の地券装に改装。エンジ色は市販の裏打ちクロスからいくつかサンプルを送って選んでいただきました。

 

 

 

 

 

 

after

 

 

 

 

 

 

 

 

個人的に読譜は好きです。音の粒を噛み締めたい。ただ、頭の中で譜面通りに音は響くものの口からは正確に音符が飛び出ないので気持ちよく歌っている人を尊敬します。そしてハーモニーは何ともいえぬ唯一無二の音の重なりで大好き。美しい発表会になりますように♪
 

 

 

 

・・・・・・・
本の修理の方法は
1つだけではありません
修理の目的、ご希望の素材や

予算などに合わせて
修理方法を考えさせていただきます

本の修理や手製本、お気軽にご相談ください

今までの本の修理のご依頼→
手製本のご依頼→


お問い合せについては
こちら→ 
をお読みの上、ご連絡をお願い致します

古本と手製本ヨンネ 
植村愛音
info@yon-ne.com

 

 

 

| 本の修理ビフォーアフター | 16:16 | comments(0) | - | pookmark |
タイコラボDayでした

 

 

 

 

2月さいしょの土曜日

タイコラボDayでした。

 

 

บ้าผ้าบ้าผ้าบ้าผ้าบ้าผ้าบ้าผ้าบ้าผ้าบ้าผ้าบ้าผ้าบ้า
 

パーカオマーを使ったCARD CASEづくりとraanpumpuyさんのカノムバービン・ホットスパイスミルク・タイティパックのタイスペシャルセット付き、タイコラボでした。

 

手を動かしながら美味しい飲み物でほっと落ち着きつつ、カノムバービン(ขนมบ้าบิ่น)を焼くほんのり甘く香ばしい匂いに満たされつつ、Bar星くずさんのカウンターで折ったり測ったり貼ったり包んだり留めたり。綴じるわけではないですし手製本とはいえないほどのシンプルな造りですが、はじめてさんも、ベテランさんも、お喋りしながらほかほかと楽しんでいただけたようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タイで買ってきたパーカオマー(ผ้าขาวม้า)がカラフルなカードケースに。パーカオマーでナーラックなナニカをつくりたいと思っていたのでこんなにたくさんの色合わせで仕上がって、皆さんの笑顔にも出会えて、嬉しくて心躍りました。

 

はじめて食べたカノムバービンはもちもちの生地にココナッツのさくさく触感が気持ちよくてペロリ。ほっこりと美味しかったです。

 

 

 

 

ご参加いただいた皆さま、raanpumpuyさん、Bar星くずさん、ありがとうございました。とおっても楽しかったのでまた開催したいです。
ขอบคุณมากๆนะคะ
เจอกันอีกครั้งนะ

 

 

 

 

*****

CARD CASEの中身は綴じでつくるのではなく紙を折るだけでつくります。blizzard bookという製本方法を参考にしています。折り方についてはリンク先で紹介しています。

*くちばし製本(blizzard book)→ 

 

 

 

 

 

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| 講座やワークショップの様子 | 23:23 | comments(0) | - | pookmark |
はじめて手でつくる本 電子書籍になりました

 

 

 

嬉しいお知らせ。

 

「はじめて手でつくる本」

電子書籍になりましたอีอี

 

 

 


E-Book?なんだか不思議なかんじですが手順を拡大して見れたりするようです。手製本しながら読むには開きっぱなしにできるし良さそうですね。紙版も電子版もどうぞよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

電子化で気になったこと。

電子書籍ってどこで買えばいいんだろう?私が利用したことがあるのはMebアプリ。これはタイの小説や雑誌が読みたくて。タイの雑誌のバックナンバーがとにかく有り難かった。小説は読みたい!という勢いでダウンロードしたけど読めるわけはなく、、、でもいつか読みたい。それからタイ語検定の練習問題。電子書籍しかなくて仕方なくKindleで購入してみたことが。ただこれは結局ノートにすべて書き出してしまったので紙の本になった。

 

 

 

 

「はじめて手でつくる本」ヨンネ著 エクスナレッジ刊

電子書籍で買える書店を探してみたところ、以下で購入できるようです。

 

紀伊國屋書店(→
DMMブックス(→
Amazon(→
Rakutenブックス(→
honto(→
dブックス(→

 

 

 

 

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| その他のお知らせ | 21:21 | comments(0) | - | pookmark |
202401 本の修理と手製本アドバンスクラス

 

 

 

 

2024年はじめ、

本の修理と手製本講座アドバンスクラス。

 

壊れた本を直してみる、綴じたいものを綴じる、テーマを決めて製本する、これは製本できるかな?製本してみたい!を進めるクラスです。

 

 

 

 

 

 

絵本の修理と改装、解体が終わって折丁背の補修、破れの補修から。

 

 

 

 

 

 

図鑑の修理、補修と綴じ直しが終わり、クータをつけてもとの表紙に合わせました。完成。

 

 

 

 

 

 

 

中綴じの冊子、ホチキスを外して1冊を1折として綴じまとめます。フレンチリンク。

 

来月につづく・・

 

 

 

 

 

 

 

製本テープを使ってみる。製本テープを使ったノートで少し変わった構造のものがあり、これと同じように綴じてみたい!というご希望。自分でつくってみると構造がよくわかります。

 

 

 

 

 

 

 

スリップケースのアレンジで、神棚&収納箱、ついに完成しました!上蓋の箱をぱかりと開けば段差のある棚に置かれた大事な置物たちが。かわいいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは1冊の本を5冊に分冊、そして上製本へ。5冊が収まるスリップケースもつくる予定。

 

 

 

 

 

 

 

おもしろい構造の名刺入れをつくってみる、など。

 

 

 

 

 

 

 

この製本方法ってどうやるの?ある手引書に説明のあった製本がわからないという質問から。これは今までやったことあるこの基本の綴じとほぼ同じで・・やってみればわかるよ!ということでやってみる。糸が切れてしまったけども。支持体のない綴じのひとつ。

 

 

 

 

アドバンスクラス、みっちり満席ではじまりました。今年もどうぞよろしくお願いします。

 

 

 

アドバンスクラスは基礎123を終えた方が中心ですが、内容によってはご相談に応じます。お気軽にご相談ください。


 

 

 

 

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| 講座やワークショップの様子 | 22:22 | comments(0) | - | pookmark |
たっぷり糸かがり綴じの手製本講座でした

 

 

 

 

 

たっぷり!糸かがり綴じ


今年はじめのアトリエハコさんでの手製本講座は、糸かがり綴じの単発講座でした。書店で見かけるコデックス装とは。手製本での糸かがり綴じとは。

 

基本を踏まえて5つの綴じ、支持体のある綴じと支持体のない綴じを枝分かれさせ全部で5パターンで綴じました。たっぷり綴じることで糸の流れをつかんでスイスイと。忘れがちなポイントもしっかりと。

 

紙を折り、折丁が綴じまとまり背ができると手製本のはじまりです。

 

 

 

 

 

何を綴じる?

中身についてはプリントしたもの、書いたもの、描いたもの、どんなものでも綴じることができれば本になりますし、中身のない無地のノートだとしても綴じてから書き綴れば本になります。後者についてはジム・ジャームッシュの映画「パターソン」をいつも思い浮かべてしまいます。思い出しながらまた観たくなってきました!

 

みなさま、ご参加ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

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| 講座やワークショップの様子 | 22:22 | comments(0) | - | pookmark |
本の修理  ステープル製本「Bradshaw’s Continental Railway Guide」

 

 

 

 

 

本の修理をしました。


「Bradshaw’s Continental Railway Guide」
1896年刊
ステープル製本(ステープラー製本、針金製本)

袋有り・結び紐付きハードカバー

 

 

 

とある翻訳者さんからのご依頼です。ロンドンで出版された鉄道時刻表と旅行ガイド。貴重な資料として読みたかったけれど壊れているので怖くて開くことができない、というご相談でした。

 

 

 

 

 

 

before

 

表紙が外れ、遊び見返しは欠けている状態。表表紙は袋状になっていて古い地図などペラものが詰まっていました。裏表紙には紐が付いていてこれは本来もっと長くて表に回して結んで持ち歩くのかな?というような装丁です。

 

 

中身はこれが扉なのかな?欠けているのかも…?気になるのはそれぐらいで、綴じはしっかりしています。そもそもこの綴じ、はじめて出会った綴じでした。1折1折りは4箇所のホチキス留めのような中綴じ。では折同士はどうつながっているかというと太めの平紐2本の支持体にホチキス留めをしているため支持体有りのかがり綴じのような構造がかろうじて成り立っているという。平紐は見返しの裏側まで延ばして貼り込んでいたようですが表紙の外れとともに切れてしまっているようでした。

 

 

 

 

↓この支持体のような平紐にホチキス留めのように針金で1折につき4か所、がちりと綴じられています。もちろんケトルステッチはありません。(この綴じ方については後述します)

 

 

 

・・・

 

修理。ホチキス(針金)はいづれ錆びるのですべて取り除きたいところですが中身はしっかりしています。ここで分解するとボロボロになりそうなので現状維持にして表紙を中心に直しました。背表紙に革を使って分かれた表紙を1つにし、袋部分は壊れやすい構造だったので構造を変えて袋を作り直しました。中身は寒冷紗やクータを合わせて補強しています。
 

 

 

 

 

 

after

 

 

 

 

 

 

ステープル製本(ステープラー製本、針金製本)について

はじめて出会ったこのおもしろい綴じ。気になり過ぎて心が躍っていましたが修理している間は調べることもなく。修理が終わってIGに写真をあげたところ、ある方から岡本幸治さんがこの綴じについて言及していたと教えていただきました。岡本先生が!それは嬉しい。参照で教えていただいたのは千代田区図書館での針金綴じの講演(→)この講演は行きたかったけど行けなかったやつ!そして内容の資料はこのサイトにはない。それから一橋大学社会科学古典資料センター(→)の資料も教えていただきました。ただ文章だとモノがよくわからなくて針金綴じは指すものが異なることもあるのでこの参照ページだけではよく分からずでした。

 

ただ、一橋大学社会科学古典資料センターの資料のなかで「針金を綴じの材料としたステープラー綴じは 1880 年代から約 50 年間に渡って行われ、錆びの問題が発生している」という記述があり、「ステープラー綴じ」とは?中綴じでも平綴じでもない綴じのことを指しているのかどうか、しかしどう調べれば・・途方に暮れて自分の製本本棚から参考文献を探してみることに。すると東京製本倶楽部が出していた「製本用語集」が目に留まり、期待値あがりながらページを捲って「す」の行へ。「ステープル製本」!あった!

 

●ステープル製本・・・「製本用語集」東京製本倶楽部 より

"staple binding 針金や金具を用いて折丁を綴じる製本。ドイツの量産体制に入った時代の製本にもよく見られる" とのこと!まさにこれですね。モノクロだけど写真もあるので確かです。しかも修理した「Bradshaw’s Continental Railway Guide」が1896年刊なので、まさに時代もぴったりと合う。ただ、イギリスの本だけどドイツで製本したのかな、そこらへんはわかりません。もしかしたらイギリスでも一時的に主流だったのかな。

 

さらにさらにそのある方から追加情報が。「メタルカラーの時代4」山根一眞 著、こちらに岡本幸治さんとの対談があり、そのなかでステープル製本について語られていると。"1870年から1880年頃からこの針金綴じが増え1900年代初頭にはなくなる"という記述があるようで。このメタルカラーの時代の古書、秒でポチリしました!

 

そうすると、ホチキス、ホッチキス、ステープラー、ステープル、その歴史は?という疑問も出てきたのでWikipedia(→)へ。"現在ステープラーと呼ばれている文具の原型が生まれたのは、18世紀頃のフランスと言われている"そうです。

 

イギリスで出版だけど製本はドイツなのか?この点もやはり気になります。その点をご依頼主さんに質問してみたところ、以下のお返事があったので追記しておきます。"19世紀末にはドイツのタウヒニッツ社(Tauchnitz publishers →)という出版社がライプチヒで英語の本を出版していました。コナン・ドイルの作品も出しています。イギリス以外の国に英語の本を供給するためだそうです。ですから英語の本をドイツで印刷していてもおかしくないのかなあとは、思いました。またこの本はご存知通りヨーロッパ旅行案内ですので、大陸で編集していたことも考えられます。すると印刷も大陸で、ということもありえるかもしれません。ちなみに20 世紀の末頃は、イギリスの出版社の本を買うと、スペインで印刷されたというものがいくつもありました。たしか当時はスペインのほうが印刷代が安かったから、ときいています"

 

 

 

 

なるほど、めちゃめちゃおもしろい…!そしていろいろと勉強になりました。ご依頼主さま、綴じについて教えていただいた方、本の修復の岡本幸治さま、本当にありがとうございました。

 

 

【追記】

「メタルカラーの時代4」が届いたので、岡本幸治さんとの対談部分を読みました。ほんの20頁ほどですが、欧州文化の極み「本の美術家」の「古書修復法」として分かりやすく本の修復について触れることができます。そして例のステープラーの綴じについても触れられています。"旧東欧圏やロシアの本に多い。「出版地ライプチヒ」なんていう名が出てくると、これは危ないぞと。"

 

やっぱりライプチヒ!ご依頼主さんの話と通じますね。参考文献にぜひ。

 

 

 

 

 

 

 

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予算などに合わせて
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古本と手製本ヨンネ 
植村愛音
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| 本の修理ビフォーアフター | 20:20 | comments(0) | - | pookmark |
本の修理 随筆

 

 

 

 

 

本の修理をしました。
「雉子日記」堀辰雄 河出書房 1940年刊
糸かがり綴じ、見返し有ソフトカバー

 

 

小説「風立ちぬ」などで知られる堀辰雄の随筆「雉子日記」「雉子日記」は講談社文芸文庫などにも収められていて手に取りやすい版もありますがこちらは1940年初出の河出書房版です。

 

 

 

 

 

before


糸かがり綴じとはいえ背固めの接着が弱って本を開くと不安定、ぱかりと背割れしている状態。本文紙も表紙も痛んでいます。

 

 

 

 

 

ご依頼主さんのご希望は、手にとって安心して読めるように。それから装丁をハードカバーにリメイクしたいということでした。リメイクのイメージはとある詩人の本。その本の雰囲気から表紙を合わせてもらいたい、とのこと。その詩人の本は文庫本より大きめで単行本より小さめ、束は10ミリほど、表紙は1ミリ厚の丸背上製本でした。花布はありません。表紙の色味は灰色と水色の間のような柔らかい色で、見返しは明るめの赤です。

 

 

全く同じというわけではなく雰囲気を近くということなので表紙と見返しの色と素材をこちらからいくつか提案して選んでいただきました。また「雉子日記」は束が20ミリほどになるので花布をつけることをオススメしました。修理については、解体、補修、糸かがり綴じ、ギャルドブランシュやクータの補強も合わせて、表紙は1ミリ厚の丸背上製本です。

 

 

 

 

 

progress

解体、掃除

 

 

 

折丁背の補修

 

 

 

糸かがり綴じ

 

 

 

丸み出し

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

after

 

 

 

 

 

 

2ミリ厚の上製本はしっかり重厚感がありますが1ミリ厚にすると軽やかに仕上がるのがいいですね。「素材は選んでいたもののどんな雰囲気に仕上がるか予期できず楽しみにしていたので嬉しい」ご依頼主さんからお返事をいただきました。こちらこそです。ご依頼ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

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| 本の修理ビフォーアフター | 17:17 | comments(0) | - | pookmark |
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